あらすじ

仕事帰りの夜九時過ぎ、汗と油の染みた作業着を脱ぎ捨て、カップ麺で腹を満たし、タバコを吸いにベランダへ出る独身の男。変わり映えしない六畳一間の部屋と、国道を行き来する車のヘッドライトを眺めているうちに、彼の意識は、少年時代の帰り道へとさかのぼっていく。  小学生だった頃の「俺」は、住宅街と古い商店街の境目にある川沿いの近道で、毎日のように同級生からいじめを受けていた。  石や土を投げられ、泥に押し倒され、それでも言い返せば長引くだけだと知っているから、ただ黙って耐えるしかない。  ある夕方、いつものように空き地の前を通りかかったとき、ついに悪ふざけは「遊び」の枠を越える。バケツに張られた泥水に顔を押しつけられ、息ができないまま必死にもがく少年。その背後で、笑い声だけが遠く響く。  視界が滲みかけたその瞬間、怒鳴りこんできたのは汚れたジャンパーと擦り切れたスニーカーを身につけた、見知らぬホームレスの男だった。

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カクヨム
カクヨム2025/11/28
  • 現在の作品空き地とホームレス