あらすじ
才能も、努力も、メンタルも。
この世界ではだいたい、ステータスアプリ「LIFE LOG」が教えてくれる。
どれくらい頑張ってて、どれくらい無理してて、どれくらい追い詰められているか。
主人公、朝比奈 煉《あさひな れん》のグラフは、ぱっと見ただの凡人だ。
勉強も平均、運動も平均。人間関係もそこそこ。
……ひとつだけ、おかしい項目を除いて。
「固有タレント:自己犠牲」
その数値だけが、理由もなくじわじわ伸び続けている。
クラスメイトは、煉のことをちょっと体力のない優しいやつぐらいに思っている。
たまに倒れて、保健室で寝て戻ってきて、
それでも「大丈夫」と笑ってる、よくいるタイプのいい人。
煉自身はというと──
一回死んだことがあるせいか、命をそこまで大事なものだと思っていない。
「どうせ替えはいくらでもいるし、俺がしんどいぶんには問題ないだろ」
そのくらいの温度で、自分を雑に扱っている。
ただ一つ、はっきり言えるのは。
誰かが限界ギリギリで潰れそうな顔をするときほど、
煉の中で何かが静かにスイッチを入れる、ということだ。
その結果、何が起きているのか。
煉のLIFE LOGだけが知っている。
倒れる役ばかり押しつけられている高校生と、
そんな彼に少しずつ違和感と執着を抱いていく女の子たちが、
今日もなんでもない日常のふりをして過ごしている。