あらすじ

​舞台は、情念渦巻く戦国の世。 ​千日回峰行の修行僧、余夏難(よかなん)は、その聖なる美しさゆえに山賊に捕らえられ、異国の男色家である大名に売られる運命に立たされる。彼の存在は、周囲の欲望をかき立てる「聖なる獲物」であった。 ​一方、山賊の住処には、もう一人の美しき若者、沙呂女(さろめ)がいた。彼は少年でありながら女として育てられ、山賊の主の妻となることを強いられながらも、自身の真の性(さが)と愛を隠し通してきた。沙呂女は、誰にも穢される前に、愛する男と口づけを交わしたいという、切実で純粋な渇望を抱いていた。 ​捕らえられた禁欲の僧・余夏難と出会った沙呂女は、その高潔な存在に激しい、一方的な恋に落ちる。沙呂女の魂の叫びは、余夏難の強固な「聖」の壁に阻まれ、拒絶されることで、かえって狂気的な執着へと変わっていく。 ​愛を拒絶された沙呂女は、山賊の主に余夏難の命を要求する。嫉妬に駆られた主が出した条件はただ一つ。「お前が見事な剣舞を踊り、私を魅了することができたら、望みを叶えてやろう」。 ​沙呂女は、自らの魂と愛の全てを賭けた舞を披露する。この舞がもたらすのは、愛の成就か、それとも破滅か。 ​これは、「聖なる禁欲」と「倒錯的な純粋さ」が衝突し、美と欲望、そして死が交錯する、凄絶なる愛の悲劇である。

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カクヨム
カクヨム2025/11/28
  • 現在の作品逆さまの沙呂女(さろめ)