あらすじ
本作は私が台湾の小説サイトで連載している『(中文書名)』の日本語訳版です。
目覚めると、ローンも完済していない登山靴が、屍の水に浸かっていた。
肺に満ちるのは空気じゃない。「律(リツ)」と呼ばれる、致死性のノイズだ。
ここに「システム」なんてふざけた救済はない。
あるのは脳みそにこびりついた、焦げ臭い「寄生虫」だけ。アクセスするたび、脳漿が焼けるような激痛が走る。
俺の名はリー・ハンウェン(李翰文)。借金まみれの、現代考古学者だ。 生き延びるため、俺は一人の少女を背負った。
「律法」によって名前さえ剥奪された、名もなき少女を。
彼女は俺のナビゲーター。俺は、彼女の「足」。
……勘違いしないでくれ。これは英雄譚じゃない。
世界に棄てられた二人が、崩れ落ちる墓標の中で、ただ息をするために足掻く――そんな泥臭い話だ。