あらすじ
◆あらすじ
主人公・妙子は、長い昏睡状態から突然目覚める。目を開けるとそこは山奥の豪奢なサナトリウム(療養所)で、周囲には人の気配が一切ない。やがてベッド脇に置かれた母からの手紙を見つけ、自分が六年前に交通事故で意識不明となり、今ようやく目覚めたことを知る。しかし同時に、母の手紙はさらに衝撃的な事実を告げていた。――一年前に三光年先で起きた超新星爆発の影響で、十日後には地球全体に電磁波の雨が降り注ぎ、生命は滅びる運命にあるというのだ。母は既に地球外へ移住しており、妙子は地球に一人取り残されていた。
孤独と恐怖に苛まれながら院内を探索する妙子は、食堂の奥の食糧庫で一人の男を発見する。髭に覆われ、衰弱しきったその男は、かつて大学時代に婚約を交わした人物だった。だが記憶が蘇るにつれ、彼こそが妙子を交通事故に巻き込み、昏睡状態に追いやった張本人であることを思い出す。男の手には結婚指輪の箱が握られており、中には母からの「結婚おめでとう」と書かれた紙切れが入っていた。母は娘に「婚約者との新婚生活」という狂気の供物を残していたのだ。
地球滅亡まで残された十日間。妙子は母の残した歪んだ遺産を受け入れ、婚約者と共に最後の「新婚生活」を送ることを決意する。
◆登場人物
・妙子(主人公)
六年前に交通事故で昏睡状態に陥り、物語冒頭で目覚める女性。
・母
妙子の母親。貴族的な気質を持ち、自己愛の強い人物。
妙子が昏睡している間に手紙を残し、地球滅亡の事実と、自分が既に地球外へ移住したことを告げる。
娘に「婚約者との新婚生活」という歪んだ贈り物を残す。
・婚約者の男
妙子の大学時代の婚約者。