あらすじ
12歳の春。僕は日ノ本国三川県に住む平凡な子供であった。初等学舎も最終年度に入り、危険生物調査組合主催の職場体験会に参加した僕こと山田和は、急激な天候悪化により先導していたお姉さんや同級生と逸れ、大鬼や大狼の庭たる危険領域の中層に紛れ込んでしまった。幼くして小鬼を駆除出来るからと調子に乗っていたのかもしれない。誰もいない森、暗闇と吹きすさぶ雨風は、ただただ恐ろしく涙を流しながら彷徨い、気が付けば樫の巨木の根本で縮こまっていた。もう家族には会えないかもしれない。そう思い涙が止まらなくなった時、轟音と衝撃をもって僕は意識を失った。
目を覚ませば、二度と会えないと思った家族の顔、そしてあの体験会から数か月が経ち、憧れていたお姉さんも既に三川の地を去った後という事実であった。
10年後、22歳になった俺は、危険領域の中層に居た。12歳から成長が止まった小さな体で森を駆け、異常繁殖した小鬼の首を刈り取っている。12歳の時に焦がれたお姉さんと同じ第4種危険生物調査員になり早数年、変わらず森の中を駆けている。組合から斡旋される調査を熟し、組合から回された駆除の仕事を熟し、あの日相棒となった毛玉と共に変わらず仕事を熟していた。ある日、報告のために街に戻れば、待っていたのは県外への出向調査依頼。そしてかつて憧れたあの人との再会。
経歴10年の合法ショタは相棒と憧れと共に西へ発つ。水妖種の異常繁殖を調査するために一か月にわたる遠征調査が始まる。