あらすじ

これは今から百年後、21XX年のお話。 妊娠も陣痛もない世界で、子どもは「ガラスのゆりかご」で十日間育てられ、完全に整った乳児として配達されるのが当たり前になった時代。 高坂華は、その制度の恩恵を受けてキャリアを続けながら、夫・勝と娘の紗良を育てている。 身体は傷つかない。キャリアも中断しない。夫も家事育児を当然のように分担してくれる。 ――それなのに、どこかで「自分は本当に母親なのか」と、不意に立ち止まってしまう。 「命がけで産んだからこそ母になれた」と信じる義母。 「今の世代は施設出産で楽でいいな」と笑う職場の同僚。 そして、完璧なはずの出生施設から届いた、娘の“わずかな異常”を告げる通知。 痛みを引き受けない代わりに、彼女たちは何を引き受けるのか。 旧来の価値観と新しい制度のあいだで揺れる華は、夫や専門家との対話を通して、自分なりの「母であること」「家族であること」のかたちを選び取ろうとする。

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小説を読もう2025/11/27
  • 現在の作品21XX年、母になる痛みを失った世界で