あらすじ
文明が世界を変えても、人は同じ過ちを繰り返す――。
西暦2105年。スマートグラスとAI、ロボットが当たり前になりつつある日本。
だれもが「記録とログさえ見れば、真実は一つ」と信じている。
元警察官の坂本は、今は祖父の家に住みつく“ニート”の犯罪オタク。
仕事は、AIが集めたデータと人間の行動の矛盾を洗い出し、AIを利用した犯罪のパターンを研究することだ。
かつて迅は、“ある役目”を果たすために警察官になったが、とある事件をきっかけに、その役目も肩書きも自分から捨てている。
ある時、大型モールのVR試着ラウンジで、テナント管理者が転落死する。
世間は反社会勢力の犯行だと騒ぐが、坂本は“ある共通点”と、耳に残った小さな違和感に気づく。
必要悪として利用されてきた「悪」と、AIが管理する新しい社会。
そして、そのはざまで何度も同じ過ちをくり返す人間たち。
これは、文明とAIが整えたはずの社会のほころびを、
一人の探偵が追い続けるミステリー連作物語である。