あらすじ
むかしむかし、まだ識字率が低かった頃。『代書屋』という商売があった。
契約書から恋文、果ては遺書まで、頼まれればなんでも書き上げる。しかもこの町の代書屋は腕がよく、彼の手にかかれば人の心を動かす名文になると評判だった。
ある日、そんな代書屋のもとを仁平という男が訪ねてきた。ほつれた羽織に、伸び放題の無精ひげ。疲れと焦りを塗り固めたような顔つきだが、瞳だけは妙な希望にぎらついていた。そして、その依頼というのが――。
「え、人生の脚本?」
「そう! あんたにおれの人生の脚本を書いてほしいのさ。文字通り、あんたの手でおれを最高の人生に導いてくれ!」