あらすじ

わたしには名前がある。  それはシズク。  意識を持つ、たった一滴の水。  三十五億年前、わたしは原始の海で目覚めた。  以来、わたしは地球のすべてを見てきた。  三畳紀の首長竜の涙となり、中世の修道士に末期の水として飲まれ、戦場の兵士の最期を看取り、少女のプールで夏の喜びを知った。  人類は文明を築き、芸術を創造し、そして破壊した。気候変動が地球を蝕み、やがて太陽が膨張を始めた。海が沸騰し、人類は滅びた。  しかしわたしの旅は終わらない。地球の重力を振り切り、星間空間を漂い、新しい惑星へとたどり着く。そこで再び、生命が芽生える。わたしが運んできた記憶と共に。  水は循環する。生命は循環する。記憶も循環する。  これは、宇宙の記憶を宿す一滴の水が語る、壮大な生命の叙事詩。  恐竜から人類へ、地球から新世界へ。永遠に続く、意識と記憶の旅。  あなたが今日なにげなく飲む水にも、きっと秘められた物語がある――。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2025/11/26
  • 現在の作品【SF?短編小説】シズク ~ある水滴が見た35億年の記憶~(約15,000字)