あらすじ
──これは勇者の物語
死後の世界「煉獄」。
次の人生に希望を持てず、転生を拒み続ける一人の男がいた。無気力な彼の日々は、停滞した煉獄の空のように、ただ静かだった。
彼の前に、記憶を保持したまま勇者として転生を繰り返すという、底抜けに明るい「勇者」が現れるまでは。
何かと自分に構ってくる勇者に、男は苛立ちを隠せない。
そんなある時、勇者の口にした「アンタは俺と似ている」という言葉の意味が分からず、男は勇者の過去の人生記録を覗き見る。しかし、そこに記されていたのは想像していた英雄譚とは程遠い──裏切りと凄惨な死の繰り返しだった。
あれほどの絶望を経験しながら、なぜ彼はまた世界を救いに行くのか。
男がその答えを見つけられないまま、勇者が次の世界へ転生する日は、刻一刻と近づいてくる。