あらすじ
「……これは詰み、ね」
名家ドゥーブル辺境伯の末裔でありながら、借金まみれの実家のために体を売り、「一夜令嬢」と蔑まれてきたヘンリエッタ。 社交界から追放され、修道院すら追い出され、腕の中には父親不明の娘がひとり。 文字通り「生まれた時点で詰んでいた」人生。
けれど、彼女には前世の記憶があった。 そして、この腐りきった盤面(世界)への、燃えるような怒りがあった。
「泣かないでエリュシア。この世界がどんなにクソでも、あなたを幸せにするなら、お母さんは何でもする」
娘を守るために女を捨て、男装の商人「ヘンリー」へ。 武器は、かき集めた僅かな前世の知識と商才、振り絞ったなけなしの勇気。 そして、港町で出会った職人や、冷徹な商会長といった「持たざる者たち」。
これは、ドン底のシングルマザーが、「娘を幸せにする」というたった一つの覚悟で市場を支配し、やがて国さえも動かす「逆転」の物語。