あらすじ
揚げよ! か◯億 ~カツ王への道~
千葉県某所の廃ショッピングモール地下。
保健所にも忘れられた謎の調理場で開催される──「第15回 闇の裏とんかつ大制覇王輪舞」。
油煙と怨念とカロリーが渦巻く地獄のキッチンバトルに、一人の若者が挑む。
「とんかつ か◯億」二代目見習い・御徒億人(おかち おくと)、通称『脱力の億』。
揚げ油の温度を肌感で測る男だ。
「貴様、スパイスを理解するつもりか?」
違う、ここはとんかつ屋だ。
対するは前回王者「コレステロール将軍」阿久津背脂。
5センチ超えの大陸プレートカツで、人類の限界に挑戦する漢。
「ロースはなぁ! 厚けりゃ厚いほど正義!」
「歯が折れても本望!」
歓声に沸く観客たち。
だが億人には、親父直伝の秘技がある。
脱力、深呼吸、そして──
「──"滅脂ロース鳳凰撃(めっしロースほうおうげき)"」
カロリーを憎み、油を憎まず。
油と和解し、油に合掌する。
余計な脂だけを断ち切り、旨みの脂だけを残す極限のカット。
「軽いのに……旨味が押し寄せてくる……!」
「胸に来ない。胃にも来ない。だが、心にくる……!」
審査員たちが涙する。
果たして億人は、千葉のとんかつの未来を背負えるのか?
※この物語は、千葉県某所に実在する極厚ロースカツが大変美味しい店とは一切関係がない。いいね? アッ、ハイ。
※「常連に任せた。新業態『自分で揚げてセルフ方式』だ」「保健所、怒るぞ?」
油の香りと笑いが渦巻く、千葉のとんかつ屋の親子物語。
読後、絶対にとんかつが食べたくなる一作。