あらすじ

祈りの名を、運命に この世界には、魔法がある。 それは水を沸かすための小さな火であり、重い荷物を運ぶ風でもある。 誰もが生まれつき魔力を持ち、使いこなす力を授かる──はずだった。 少年の名は、シア。 銀の髪に、赤い瞳。 優しい顔立ちと、穏やかな声。 どこにでもいる、普通の少年。 ただひとつ、致命的な“異常”を除いては。 彼には──「戦う力」がなかった。 騎士を志し、強くなることを夢見た彼に与えられたのは、火を灯す、皿を洗う、風を通す。 そんな“生活魔法”だけだった。 「向いてないって、わかってる。でも、僕は……」 それでも、諦めきれず、彼は森へ向かった。 誰もいない、静かな場所で。 誰にも知られず、ただひたすらに剣を振るい、魔法を放ち、自らの限界を問い続けた。 そして、魔力が尽き、意識が遠のいたとき── 彼は、見たのだ。 夜の闇より黒く、ステンドグラスのように妖しく輝く蝶を。 それがふわりと彼の胸に降りたとき、彼の中に“何か”が流れ込んだ。 痛みはなかった。 夢のような心地。 まるで、母の腕の中にいるような、温かく、優しい……いや。 ──何かがおかしい。 蝶は、何も語らない。 ただ静かに、シアの中で羽を閉じた。 そして物語は、静かに動き出す。 それは少年が「全ての属性を使える」存在に目覚める前。 それは少女が「乗っ取られようとしている」ことも知らない日々。 それは二人が出会い、戦い、そして選ばれるための── 始まりの祈り。 たったひとつの願いが、運命の扉を開けた。 そしてその代償に、世界は静かに、崩れはじめる。

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小説を読もう2025/05/17
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