あらすじ
幼い頃、祖父母の家の庭で、僕は老犬に襲われて左目に傷を負った。
病院のベッドの上で、点滴の雫の音を聞きながら、その記憶が少しずつ甦っていく。
深夜、病室が水底のように沈むとき、聞こえるはずのない「鎖の音」がする。
振り返るとそこには、幼い男の子が鎖につながれたまま泣いていた。
助けに行けない僕のそばで、幼い頃の兄が静かに言う。
——あの子が犠牲になって、僕たちを守ってくれたんだよ。
意味がわからないまま、言葉だけが心の奥に沈んでいく。
原体験、傷、闇。
幼い自分と向き合う“短い断片”の物語。