あらすじ

新しい制服にまだ馴染まない春の朝。 高校への坂を登る早川の胸に、ぼんやりとした懐かしい名前が浮かぶ――岸野。 幼い頃から一緒で、街でも仲が良すぎると噂された存在。 だが、中学二年の終わり、突然岸野は姿を消した。理由も告げず、連絡も途絶えたまま。 入学式の朝、白い廊下に朝日が差す。 背後から、聞き覚えのある声が響く――「久しぶり、早川さん」 振り返ると、そこにいたのは岸野だった。 けれど、そこにあったのはかつての笑顔ではなく、冷たく、どこか遠い目。 桜の花びらが舞う廊下で、早川は無意識に腕を掴む。 しかし岸野は素っ頓狂な声を上げて手を振りほどき、まるで知らない人のように距離を置く。 その瞬間、胸の奥に刺さる痛みと、胸騒ぎのような違和感が走る。 「なんで戻ってきたの?戻ってきたなら、言ってよ」 震える声に岸野は、かすかに眉を寄せただけで答えない。 そして、ぽつりと、意味深な一言―― 『…俺ら、そんなに仲良かったっけ』 その言葉の裏に潜むものは何なのか。 忘れられたのか、それとも忘れざる理由があるのか。 早川には理解できない、岸野の空白と影。 廊下に落ちる桜の花びらは、ただ静かに螺旋を描く。 風は二人の間に吹き抜けるだけで、何も解き明かさない。 けれど、胸の奥に残る違和感は、どこまでも深く、解けない謎のまま広がっていく―― 春の光と影の中、過去と現在の境界は揺らぎ、 読者は一つの問いを抱え続ける。

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小説を読もう2025/11/25
  • 現在の作品それは心地良い夢でした。――仲が良かったと街でも有名だった幼馴染、再会すると人が変わっていました――