あらすじ
大激変からちょうど50年。
ダンジョンが世界を覆い、人類は覚醒者となって魔物と戦う時代。
平和な学園都市で、松野蘭丸は幼馴染の朝本七海とともに15歳の覚醒の日を迎えた。
そこで彼が得たジョブは、記録に存在しない《帰還者》。
同時に授かったスキルは、たった一つ。
《最後の鍵》。
覚醒の瞬間、蘭丸の頭に何百回分もの「終わった世界」の記憶が雪崩れ込む。
自分はすでに何百回もこの50年を生き、
七海を殺し、仲間を殺し、世界を滅ぼし、
それでもまた大激変の朝に戻ってきたこと。
そして最後に、自分自身が死の直前に発動させた
《最後の鍵》によって、この「偽りの50年後」を作り、若き日の自分を送り送り込んだこと。
すべては、ループを終わらせるため。
すべては、ダンジョンの深淵に蠢く「外なるもの」を殺すため。
《最後の鍵》は一度だけ、
「世界の法則そのものを書き換える」ことを許される。
だが代償は、発動者の存在の完全消滅。
だから蘭丸は笑う。
もう救おうとは思わない。
もう誰も幸せにしようとは思わない。
ただ、七海の手を引いて、
優しく微笑みながら、
この偽りの世界を、ループを、外なるものを、
すべてを終わらせるために歩き出す。
「七海、怖がらないで。もうすぐ、全部終わるから」
これは、愛する少女を何度も殺し続けた少年が、
最後にその手で永遠の終焉を握るまで。
ただ一度だけ許された、世界を殺す権利の物語。
《最後の鍵》は、もう二度と開かない。