あらすじ
世界は、静かに崩れ始めていた。
原因不明の現象《色彩飽和(クロマ・サチュレーション)》によって、街も人も感情さえも、極端に蛍光ネオンへと塗り替えられていく近未来の東京。
二十歳の美大生──**天野碧(あまの あお)は、ひとりだけネオンに抗うように、「モノクロだけを描き続ける」**奇妙なアーティストだった。
色が暴走する世界で、彼女の絵だけが“静けさ”を保っていたからだ。
そんなある日、碧は亡き祖母が遺した研究ノートから、
色彩飽和を一時的に抑える特殊な絵の具《イロノミ(色実)》の存在を知る。
そして、ネオンに最も敏感な“共鳴体質”の幼馴染ミュージシャン──ハルが、色の奔流に呑まれていく様を目の当たりにし、彼を救うために決意する。
「この世界がネオンに呑まれきる前に──
私は“世界で最後の本当の色”を描く」
アートと感情、記憶と終末。
ネオンの東京を巡りながら、碧は“世界を塗り替える一筆”を探す旅に出る。