あらすじ
これは、世界が静かに終わっていく物語です。
噛まれたら終わり。
そう言われていた時代は、まだ牧歌的でした。
この物語に出てくるのは、もっと質の悪い“ゾンビ”です。
死なない。
腐りきらない。
走って追ってくるだけでなく、匂いを選び、仲間を選び、獲物を選びます。
気がついたときには、街はもう“群れ”のものになっていました。
誰かがヒーローの顔をしてショットガンをぶっ放してくれることもない。
勇気や愛や友情でどうにかなる段階は、とっくに通り過ぎています。
地球はほぼ落ちました。
月に逃げた人類は、薄いドームの下で、ひたすら「自分はまだ人間だ」と言い聞かせながら暮らしています。
けれど、地球に残された“群れ”は、ただの屍の集まりではありません。
彼らには彼らなりの秩序があり、においがあり、ルールがあります。
この物語は、そんな世界で生き残ってしまった人たちと、
生き残るために“人であること”をどこまで削り取るかを、延々と突き付けられる人たちの話です。
ハッピーエンドは保証されません。
救済も、きれいなカタルシスも、おそらくありません。
あるのは、じわじわと逃げ場を失っていく感覚と、
それでも今日一日だけは噛まれずに済んだ、という小さな安堵だけです。
ゾンビが好きな人には、いつもより少し“しつこくて、タチの悪い”終末を。
未来なんて信じられない人には、「ああ、やっぱりこうなるよね」と肩をすくめたくなる世界を。
そんなつもりで書いたディストピア物語だと思います。
どうぞ、ページを開いたら最後まで戻らずに、終わりまで付き合ってやってください。
終わり方が気に入るかどうかは、読んだあなたのOS(オペレーションシステム)次第、ということで。