あらすじ
少年がいた。何の変哲もなく、幸せになる権利を持っている少年。
名前は、朝地晴。
友人と遊んで誰かに恋をして、いつか大人になる。そしたら仕事をして結婚をして年老いていく。そんな平凡な人生が、これから彼にやってくるはずだった。
初め、私達は何の関係も持たなかった。ただ共通することといえば同じ時代に生まれ、同じ空間にいたことだけ。
故に、互いに無関心だった。その共有する時間は実に贅沢で儚いものだったのに。
彼が、特別な病気を発症しなければ、無関係のまま私達は終わっていただろう。
いや、終わりを迎え入れるのは私だけだ。
病気は、私達を不思議な関係で結びつけた。同級生から始まり、やがて弟のような存在になり、息子のような存在になり、そして孫のような存在になっていく。たった一度きりの人生で、たった一人の相手を多様な面で眺めていくなど誰が想像するだろうか。
我がままを言うならば、その一度きりの人生で、私は彼と共に年老いて、変わる世界の流れを見つめていたかった。
彼は、永遠に死ねない病気を持っていた。
年老いていく女の子と永遠に変わらない男の子の話。