あらすじ
舞台は男女の貞操観念が完全に逆転した世界。女性は強く逞しく社会を支配し、男性は「守られるべき愛玩存在」として慎ましく生きるのが常識となっていた。
主人公・神楽坂藍(かぐらざか・あい)は、神が造形したごとき絶世の美貌と一八〇センチを超える長身を持つ十七歳の青年。本来なら称賛されるべきその容姿も、この世界では肉食獣のような女性たちの征服欲を煽る「呪い」でしかない。日々好奇と欲望の視線に晒され、魂をすり減らしていた藍は、現実の身体的特徴や性差に関係なく、純粋な実力(プレイヤースキル)のみが評価される完全没入型VRMMORPG『アポリア』に救いを求める。
ゲーム内では平凡な顔の男として、誰にも媚びずに生きようと決意していた藍。しかし、キャラクター作成画面で「チュートリアルスキップ特典」に目が眩んだ彼は、痛恨のミスを犯してしまう。特典と引き換えに、アバターの容姿が現実そのままの「絶世の美青年」状態で固定されてしまったのだ。容姿変更が可能になる条件は、ゲーム内で一年を過ごすこと。絶望した藍は、特典装備の『隠者のローブ』で顔を隠し、正体不明のプレイヤー『アイ』として活動を開始する。
広場へ降り立った藍は、最強の女性限定ギルド『North』の幹部、「迅雷のレオーネ」が主催する賭け試合に遭遇する。種目は超難解な戦略ボードゲーム。幼少期から培った天才的な頭脳と冷徹な戦略眼を解放した藍は、レオーネを圧倒的な戦術でねじ伏せ、勝利を手にする。その才覚を見込まれ『North』への加入を認められるが、ステータス確認の際、藍が「男」であることがバレてしまう。
強くて美しく、ミステリアスな「男」の出現に、レオーネは戦慄と共に強烈な恋心を抱く。こうして、顔バレ=貞操の危機という爆弾を抱えながら、女性だらけの最強ギルドで無双する、美しき天才青年の波乱に満ちたゲームライフが幕を開けるのだった。