あらすじ
感情が希薄で「生きている意味」を感じられない少年・八坂明菫は、家族からも他者からも理解されず、ただ日々を繰り返すだけの空っぽな人生を送っていた。
いじめをきっかけに暴力を振るい孤立した彼を、唯一手を差し伸べたのが佐倉ハルだった。
中世的な美貌と天才的なピアノの才能を持つハルは、しかし心臓に重い病を抱え、「手術すればピアノが弾けなくなる」「弾けなくなれば自分の価値がなくなる」と死を選ぼうとしていた。音楽室の埃が舞う光の中、ピアノの音色だけが二人の心を繋ぐ。
明菫は初めて「楽しい」を知り、ハルは初めて「生きたい」と思える相手に出会う。
嫉妬と執着、愛と呪いのような感情が交錯しながら、二人は互いを救うため、自転車での逃避行へ出る——。