あらすじ
この世界は、誰も気づかないところで“もうひとつの理(ことわり)”とつながっている。
人の心が揺れたとき。
日常がふと途切れた瞬間。
夜と朝の隙間、影と光の境目、忘れられた路地や静かな水面——
そこには、こちらの世界とは異なる「境界の世界」が顔をのぞかせる。
そこに住むのは、精霊、影、人ならざるもの、未来や過去を運ぶ存在。
彼らは人に害を成すわけでも、救うために現れるわけでもない。
ただ“世界のバランス”に従い、生きている。
そして、ごく普通の人間である主人公たちは、時に偶然、時に必然で、この境界に触れ、不思議な一夜や一日を体験する。
出会いは短く、別れは静かで、奇跡は控えめ。
けれどその一度きりの出来事は、主人公の人生のどこかに小さな灯りを残し、
何年も先になって、ふと思い出されるような“傷跡にも優しさにもなる出来事”となる。
本作は——
「日常のすぐ隣にある、知らない世界」
「遭遇したことで心が少し変わる、一話完結の物語」
そんな、淡くて少し切なく、どこか温かいファンタジーの連作短編集である。