あらすじ

大商家出身の書記官令嬢エレオノーラ・ハルトマンは、幼いころから数字と記録に強い目を持っていた。 婚約者であるルーカス・ヴァルデン子爵家の帳簿を任され、彼の家が軍への物資供給に関わる重要な立場にあることから、彼女は誠実に職務を果たしていた。 だが舞踏会の夜、ルーカスは社交界の人気令嬢マリアンヌとの婚約を一方的に宣言し、エレオノーラを侮辱して婚約を破棄する。 それでも彼女は泣かず叫ばず、ただ記録として残した帳簿の“不自然な数字”に静かな確信を抱いていた。 翌日、王宮監査局のグラハム・ラインベルク次官に招かれたエレオノーラは、書記官として正式に迎え入れられ、彼女の記した注記が国家規模の不正を暴く鍵となることを知る。 ヴァルデン子爵家の軍需物資横流し、受領記録の改竄、港湾局との裏取引―― 数字を三点照合する彼女の分析は、次々と真実をつないでゆく。 やがて集まった証拠は決定的なものとなり、王宮警備隊がヴァルデン子爵家を急襲。 当主クラウス、そして記録を操作していたルーカスにも断罪が下る。 社交界も王宮も騒然とする中、エレオノーラは功績を認められ、監査局主席書記官に任命される。 侮辱され、捨てられた令嬢は泣かなかった。 彼女の手が記したのは、ただ“数字の嘘”を暴く記録だけ。 その真実が、彼女自身の価値を証明し、穏やかな未来への扉を開いてゆく。 ――数字は嘘をつかない。 ――嘘をつくのは、人間だ。 静かな誇りを抱く書記官令嬢と、彼女を深く評価する次官グラハム。 行政の闇を暴く過程で、二人の間に芽生えたのは、信頼と、まだ言葉にならない温かな感情だった。

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小説を読もう2025/11/24
  • 現在の作品婚約破棄された書記官令嬢、私の帳簿一冊で貴族家の不正がまる見えだった