あらすじ
外科医を志す医学生・茂樹は、ある日から奇妙な「声」を聞くようになる。
それは、恋人・柚希の口から発せられたものではなく、けれど確かに彼女の“本音”のようにも思えた。
言葉がうまく出ない吃音症を抱えながらも、明るく振る舞う柚希。
表に見せる顔と、心の奥でつぶやく声。
二人の距離は近いはずなのに、いつしか“きこえすぎること”が関係を歪めていく。
心療内科実習で出会った静かな医師の言葉。
水族館で交わされた、最後の会話。
そして訪れる、それぞれの選択。
これは、
「わかりたい」と願った優しさが、誰かを傷つけてしまう物語。
声と沈黙のあいだで揺れる、静かな恋の記録。