あらすじ
「呼吸をするたび、肺が錆びていく。だから俺は、お前の熱い血ですすぐしかないんだ」
空を鉛色の雲が覆い、雨の代わりに黒い油が降り注ぐ『鉄鎖の国』。
ここでは死の概念が壊れている。生物は死ぬと肉体が腐らず、鋼鉄へと変質し、意識なき「錆び人」となって永遠に彷徨う呪いにかかっているからだ。
唯一、自我と肉体を保つ方法はただ一つ。他者の「生きた血」を啜り、その熱量で自らの鉄化を溶かし続けること。
記憶を失った主人公は、全身を継ぎ接ぎの甲冑で覆い、自身の背丈ほどもある巨大な『墓標剣』を引きずって旅をする。
襲い来るのは、かつて騎士だった動く鎧、肉と機械が融合した異形、そして狂ってしまった神々の成れの果て。
これは英雄の物語ではない。
鉄と錆の匂いに塗れ、骨を砕き、肉を裂き、ただ「まだ死にたくない」と足掻き続ける、名もなき解体屋の記録。
最深部にあるという「原初の炉」へたどり着けば、この呪いは終わるのか——?