あらすじ
泰平の世、江戸でもっとも繁盛している商売は「用心棒稼業」だった。 巨大な用心棒組合がシマを争い、金のある者だけが命を守られる「暴力のバブル経済」。
その江戸の掃き溜め・深川の裏路地に、一人の男がいた。 名は秋月。 普段はうだつの上がらない貧乏な代書屋。大家の娘に家賃を催促され、近所の子供に墨を塗られる「昼行灯(ひるあんどん)」である。
だが、組合すら逃げ出す「割に合わない依頼」が舞い込んだ時、男の目は一変する。 彼が振るうのは、あまりに鋭く、あまりに速い一太刀。 斬られた悪党は、自分が死んだことにすら気づかず、満足げな顔で崩れ落ちるのだ。
これは、組織に属さない「野良」の用心棒が、たった一本の錆びた刀で、江戸の巨大な闇を切り裂く物語。