あらすじ
雪深い森に、棘のないヤマアラシ・ハリーがいた。
他の子たちは棘で身を守り、寒い夜は寄り添って暖を取る。
でもハリーは近づくたび棘に刺され、自分だけが傷つき、血を流す。
「近づくと痛い、離れると凍える」——それがヤマアラシのジレンマだった。
ハリーは棘がないことで困っていた。
ハリーは次第に群れから遠ざかり、一人で冬を越そうとした。
けれど吹雪の夜、凍え死にそうになったところを、親友のトゲが命がけで抱きしめて救う。
トゲもまた、ハリーを守るために自分の体を傷だらけにした。
翌朝、トゲは木の枝や松ぼっくりを削り、小さな棘を作ってハリーの背中に貼りつけた。
棘を手に入れたハリーは、初めて対等に寄り添えるようになった。
近すぎると痛い。遠すぎると寒い。
だから二人は、ちょうどいい距離を探し続ける。
傷つくことを恐れていたハリーは気づく
完璧に傷つかない関係なんてない。
それでも、傷つきながら温め合える距離が、確かに存在する。
棘があってもなくても、大切なのは
「そばにいたい」と願う気持ちと、それを貫く勇気だけ。
春が来て棘は抜け落ちても、二人はもう離れない。