あらすじ
「監視じゃない、見守りだ」——父の自由と家族の安心、その「ちょうどいい距離」を探す物語。
82歳の元高校教師・藤崎勇三は、自身の衰えを認めつつも、まだまだ現役としてのプライドを持っていた 。しかし、二度の道迷いを心配した娘の裕美からGPS端末を持たされそうになり、「わしを監視する気か」「首輪と同じじゃ」と激しく拒絶する 。
平行線をたどる親子の会話に割って入ったのは、孫の拓也だった。「行き先を見ても、それを追及しない(聞かない)」という新しいルールを提案する 。勇三は「追及したら捨てる」という条件で、渋々GPSを持つことを承諾する 。
「聞かない約束」のもと、裕美はスマホの画面上の「青い点」を見つめる日々を送る 。そこには、裕美の知らない父の姿があった。古書店巡り、懐かしい元勤務先、そして謎の「スナックプリン」や山奥の神社への定期的な訪問 。不安を抱えつつも、裕美は約束を守り続ける。
ある雨の日、山に入った勇三の動きが止まったことで、家族は約束を破り救助に向かう 。しかしそこで目にしたのは、遭難ではなく、かつての仲間たちと生き生きと山菜採りを楽しむ父の姿だった 。
GPSは「監視の道具」ではなく、父の豊かな日常と、亡き妻への愛を知るための「架け橋」へと変わっていく 。テクノロジーがつないだ、不器用な父と心配性な娘の、新しい家族の絆の物語。