あらすじ
あらすじ 21 世紀半ば、人類の進化の陰で、ごく一部の人間が「特定周波数の音波」を自在に発す
る能力を得ていた。
それは耳には聞こえないほどの微細な波でありながら、相手の感情・判断・行動を直接変化させる――“音による支配”の力だった。
大学講師・久我怜司は、学生たちが自分の講義に異常なまでに引き込まれていくのを不思議に思っていた。やがて恋人で音響学研究者の神崎由梨が、怜司の声が「通常の可聴域外に強い共鳴帯」を持つことを発見。
怜司は人類の中でも極めて稀な“共鳴者(レゾネーター)”であることを知る。
最初は軽い興味だった。だが、怜司はすぐにその力を使って交渉を有利に進め、人々の心を操作していく。
政治家、実業家、宗教家たちが次々に彼の声に魅了され、怜司の影響力は社会を覆い始める。
だが、その成功の裏で、彼は少しずつ“他者の自由意思”を奪う快感に取り憑かれていくのだった。
一方、世界各地でも同様の現象が報告され、各国政府は秘密裏に「共鳴者計画」を立ち上げる。
その中枢にいたのが、怜司と同じ能力を持つ謎の男、黒江イザヤ。
彼は怜司の力を“兵器化”し、人類を完全に支配する「周波数帝国」を築こうとしてい
た
。
怜司の恋人・由梨がイザヤの組織「サイフォニクス」に拉致され、怜司は単身で彼らの秘密都市へと潜入する。
そこでは共鳴者たちが訓練され、人々の脳波を同期させる“音の軍隊”が形成されていた
。
やがて始まる――音と音の戦い。
声が衝突し、空気が震え、都市が崩壊していく中で、怜司は気づく。
自らが操ってきたものは「感情」ではなく、「存在そのもの」だったのだ。
最終決戦。
怜司とイザヤは、互いの声を打ち消し合う“無音の共鳴”の中で対峙する。
全ての音が消えたその瞬間、人類の脳が新たな進化を遂げる――言葉を超えた意思の伝達
。
世界は静寂に包まれる。
だが、その沈黙の奥底で、新たな“音”が胎動していた。
それは、次の進化の鼓動―