あらすじ
その星は、とっくに死んでいた。
厚い雲が陽光を遮断し、大地にはタールと廃油が混ざった「泥」が堆積している。
呼吸するたびに肺が焼け、生きているだけで身体が錆びついていく閉鎖生態系――「澱み」。
残された人々が奇形の怪物に怯え、延命装置にすがりついて生きる地獄の底で、一人の「女」が目を覚ます。
名はソーマ。
ガスマスクで顔を覆い、背中に巨大な濾過機を背負った彼女は、かつての文明が遺した「自走式産業廃棄物処理機」の成れ果てだ。
彼女に英雄的な理念はない。あるのは「メンテナンスが必要だ」というエラーログだけ。
彼女の行く手に立ち塞がるのは、この星の業そのものである汚染源たち。
鉄錆病に蝕まれた暴君、無限に増殖する肉腫の母、電子ドラッグを撒き散らすAI教祖――。
ソーマは無言で彼らを蹂躙する。
愛機「吸引杭打ち機」をねじ込み、敵の体内の猛毒を啜り、自らの燃料に変えて。
これは、英雄の物語ではない。
汚れた世界で、誰よりも汚れた機械が、すべてを「機能停止」へと導くまでの、冷たく、昏い、葬列の記録。