あらすじ
かつて神童と呼ばれた青年は、銀座や吉原で放蕩に溺れ、地主の跡継ぎとしての期待を裏切り続けてきた。
しかし、安寧は一通の電報によって終わりを告げる。
「チチ、カツケツ、キトク」
厳格で、鬼のようだった父。その死の知らせを受け、彼は一等車に揺られながら雪深い故郷を目指す。
スチーム暖房の熱が充満する車内、紫煙の向こう側。
煤けた窓に映るのは、虚飾にまみれた過去の自分か、それとも――。
暗いトンネルを抜け、眩い雪景色を目にした時、青年は静かに背筋を伸ばす。
これはある青年の再生と決意を描いた掌編。
*文学フリマ東京41 U-28ブースで無料配布する掌編小説となります。