あらすじ
「あー」
昼下がり。大学の友人・西山と競馬場へ向かう電車に揺られていたとき、西山がふいに気の抜けた声を上げた。
「なに?」
吊革に掴まりながら、ぼんやり窓に流れる景色を眺めていたおれは、顔を少し向けて訊ねた。
「いやー、ふと思い出してさ……。今、公園あっただろ。あれ見て、遊園地のことをさあ」
西山は、にやけた顔をさらに緩ませた。どこか舌足らずで言葉足らず。どうやら思い出に耽っているらしい。さっき確かに大きな公園を通り過ぎたが、それが遊園地に結びつくものか? と、おれが小首を傾げたとき、西山がちらりとこちらを見た。
話したくて仕方がないらしい。おれはこめかみを掻きつつ口を開いた。