あらすじ
「無人島」とは、誰もいない島ではなく、誰もいないことにされた島だった。
政府が掲げた「人口密度の最適化」政策。全国から無作為に選ばれた国民が、“未利用区域”へ移住させられることになった。通知を受け取った会社員・真島悠人の行き先には、簡単にこう書かれていた。
――転居先:無人島特別区域第七号。
不安を抱えて海を渡った先にあったのは、意外なほど整った住宅と、妙にきちんと仕事をしている島の役所。ただし電気も水道も、外界との通信もない。
役所の職員は笑顔で言う。
「無人島というのは、“そこに住む人の声が外に届かない島”のことです」
帰る手段は、最初から用意されていなかった。紙の上から静かに消されていく「住民」の物語。