あらすじ

とある事故を境に、平凡な会社員である透の左腕には、醜悪な『肉腫』が寄生した。それはあろうことか人間の言葉を解し、透の脳内に直接語りかけてくる。「腹が減ったな、相棒」。医師にも切除不能と診断されたその怪物は、夜な夜な透の意識を奪い、身体の自由を支配するようになる。透にとっての地獄は、そこから始まった。

ある朝、冷蔵庫を開けた透は、身に覚えのない極上の「肉」が詰め込まれていることに気づく。美しくサシの入った赤身、新鮮な臓器。妻の手料理として食卓に並ぶそれを口にした瞬間、かつてない甘美な味わいに戦慄した。以来、深夜の記憶欠落とともに冷蔵庫の食材は増え続け、反比例するように、最愛の妻と幼い娘は原因不明の怪我や衰弱に伏していく。

「今日のシチューは絶品だろう? お前の娘のふくらはぎだ」

脳内に響く肉腫の嘲笑。透が震える手で家族を確認すると、そこには不自然な包帯が巻かれていた。愛する家族を守るべき自分の手が、夜ごと彼女たちを丁寧に解体し、食卓を彩る食材へと加工しているのか。抗えない睡眠欲求の先で、狂気と食欲に支配された左腕が、幸せな家庭を鮮血の晩餐会へと変えていく。自らの身体に巣食う悪夢と対峙する、戦慄のサイコサスペンス。

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アルファポリス
アルファポリス2025/11/20
  • 現在の作品左腕に寄生した『喋る肉腫』が深夜に僕の意識を乗っ取り、愛する家族を少しずつ食材に変えて冷蔵庫に詰め込んでいるらしい