あらすじ
灰かぶりとして蔑まれ、都の外れで奉公して暮らす少女・花。
亡き母が残したかんざしだけが、彼女が誇れる唯一のものだった。
ある日、奉公先の思惑と身分証の取り違えによって、
花は貴族の娘の代わりに 后選びの宴 へ出る羽目になる。
偽物だと知られれば処罰は免れない。
息を潜めてその場をやり過ごすつもりだった花の前に現れたのは、
冷徹無比と恐れられる若き帝朱皇(すおう)だった。
多くの姫君が艶やかに競い合う中、
帝が目を留めたのは、灰をまとい空気のように隅へ立つ花ただ一人。
「名も無き花よ。なぜ、そんな目で私を見る?」
その言葉をきっかけに、帝は花に理由のないほど優しくなり、後宮では彼女への特別扱いにざわめきが広がる。
花の心も、無意識のうちに帝へ向かっていく。
だが――。
後宮には嫉妬が渦巻き、
花の「偽物の身分」を暴こうとする陰謀が動き出す。
さらに、彼女の出生には長く封じられてきた秘密があり、それは帝の血筋にさえ関わる重大なものだった。
真実が明かされれば、帝の許嫁どころか花は宮中から追放されるかもしれない。
それでも帝は言う。
「たとえ灰より出でたとしても、お前を選ぶのは私だ」
偽りの姫として迷い込んだ少女は、
果たして帝の隣で一輪の花として咲けるのか――。