あらすじ
新しくリリースされたSNS「ホワイトアウト」は、ちょっと変わった機能を持っていた。ブロックボタンを押すと、その相手はタイムラインから消えるだけでなく、現実世界からも「いなかったこと」になるのだ。
クラスに馴染めない高校生・春川ユウマは、その機能にすがるように指を動かしはじめる。うるさいクラスメイト、絡んでくる後輩、説教ばかりの教師、家族さえも……。ブロックのたびに、席が一つずつ空き、アルバムの写真から人が抜け落ち、記憶の輪郭が薄れていく。
心地よい静寂。誰も自分を傷つけない世界。だが、ふと気づくと、教室も商店街も、タイムラインも、真っ白な空白だらけになっていた。
ある日、ユウマは自分のアカウントの設定画面を開く。そこに表示されていたのは、見覚えのある名前だった。
――ブロックリスト「春川ユウマ」。
ブロックボタンの向こう側で、世界は静かに書き換わっていく。