あらすじ
蒸気機関の黒い煙が空を覆い、古き良き「忍(しのび)」の伝説が忘れ去られようとしている時代――オーラ大陸。かつて天地を動かした「霊力(チャクラ)」は枯渇し、人々は神秘的な術よりも、鋼鉄と歯車によるテクノロジーを崇拝し始めていた。
そんな時代の狭間にある「青雲の里(せいうんのさと)」に、一人の少年がいた。
彼の名は、ヒムラ・ケンジ。
ケンジは、忍者アカデミー始まって以来の「究極の落ちこぼれ」である。
忍術の基本である「印(いん)」を結ぼうとすれば指が攣り、体内の霊力値は驚愕の「ゼロ」。教師からは呆れられ、同級生からは「木偶の坊(デクノボウ)」と嘲笑される日々。彼の取り柄といえば、底なしの食欲と、無駄に頑丈な身体だけだった。
しかし、ケンジには誰にも言えない秘密があった。
彼の血管を流れるのは、ただの血ではない。そこには、触れるもの全てを破壊しかねない、凶暴な**「紫電(しでん)」**が宿っていたのだ。
運命の歯車が動き出したのは、アカデミーの卒業試験の日だった。
「忍術で岩に傷をつける」という課題に対し、霊力を使えないケンジは、怒りと焦りの中で無意識にその力を解放してしまう。印を結ばず、術も唱えず、ただ渾身の力で放った「拳」一つ。その一撃は、岩を粉砕するどころか、赤熱した風穴を開けてしまった。
その直後、平和な里を突如として闇が襲う。
カラスの仮面をつけた謎の男が空から舞い降り、里の守護者たちを一瞬で蹂躙した。男の目的は、伝説の遺物**「嵐の心臓(ストーム・ハート)」**。そして、その禍々しい視線は、なぜか「落ちこぼれ」であるはずのケンジに向けられていた。
「見つけたぞ。忌まわしき『雷神』の残り火よ……」
科学と忍術が交差する世界で、霊力を持たない少年が「最強」への道を駆け上がる!
硬直した指で運命を掴み取れ! 笑いあり、涙あり、そしてド迫力のバトルあり。
これは、時代遅れの忍者が世界を揺るがす、痛快アクション英雄譚である。