あらすじ
高校二年の有坂澪は、陸上部のエースとして将来を期待されていた。しかし、足の大怪我によって選手生命を断たれ、今は教室の隅で“生きているだけ”の日々を送っている。そんなある夕暮れ、校舎は季節外れの濃霧に包まれ、外界から遮断された。
鳴り響くチャイム。不気味な『かごめかごめ』の替え歌。
そして校内放送が宣告する――「これより『カゲフミ様』を始めます。影を踏まれた者は、その影に肉体を譲り渡さなければなりません」。
黒い影人間「カゲフミ様」に影を踏まれた瞬間、人は“中身だけを喰われ”、影が本体を乗っ取る。昨日までの友人が突然“別の何か”になって笑う恐怖が、校舎中を覆っていく。
足の悪い澪は真っ先に死ぬはずだった。しかし彼女の影には、絶望の果て、深夜の廃神社で呼び寄せた“名無し”の存在が潜んでいた。
「お前の身体を乗っ取るのは俺の権利だ。他の雑魚には渡さん」
カゲフミ様に影を踏まれた瞬間、澪の影から飛び出した名無しが敵を喰い尽くす。
歪んだ主従関係を結んだ澪と名無しは、生き残るため、そして“影のシステム”に終止符を打つために校舎を駆ける。影の物理を利用した知略戦、仲間との疑心暗鬼、そして影を巡る真相――。