あらすじ
〝普通〟は、一生手に入らないものだと思っていた。
でも、〝普通〟なんて自分が置かれている状況がそれだった。
自分が求めていた〝普通〟は〝特別〟なんだということを交渉材料になった今、イヤでも理解させられる。
それでも私は、〝普通〟が欲しかった。
だってそれは私がはじめて手に入れたいと思った感情だったから。
だから、拒んだ。無理を言った。条件を――受け入れた。
糸が切れる。
吊り上げられていた腕が下がる。堅くて、泥だらけの地面に触れる。
覚悟して、と声がした。
――もう、戻れないから、と。
これは、私が私であることを選ぶための物語。
登場人物紹介
・高遠 つむぎ(たかとお つむぎ)
高遠グループの一人娘。才女。普通の学生生活の中で生まれた、知らない感情に振り回されていく。
・佐藤 将十(さとう しょうと)
一般家庭の末弟。上に姉が二人。争いを好まず、協調性が高く、男女分け隔てなく友人が多い。家の女子たちと正反対な性格のつむぎに、興味を引かれる。