あらすじ
美月はふと考える。もしもあの時、この会社に入らなければ――神谷との不倫に沈む今はなかった。直属の上司である神谷から逃げる術はなく、拒めば報復があるという恐怖だけが、美月の日常を支配している。
そんなとき胸に浮かぶのは、十九歳で事故死した初恋・遼のこと。転校後に「もう電話してこないで」と突き放されたが、遼は十八歳で美月の第一志望校に進学していたと知る。
「自然に再会したかったのかもね」
友人の言葉に、心は砕け散った。
もしもあの時、遼が生きていたら。
優しい未来を選べていたなら。
美月は、数えきれない“もしも”を抱えたまま、今を生きるしかないのだろうか。