あらすじ
〈あらすじ〉
8万年後の世界。アスカリスという少女は、不思議な夢を見ている。
いつも同じ内容の終末の夢。アスカリスにとてもよく似た女の子が出てくる。女の子はいつも、何かを呟いている。――でも、その女の子の声がアスカリスには聞こえなかった。
アスカリスは生まれてから2ヶ月しか経っていない、生後0歳の神さま。物語の意味が消失した、8万年後の世界の生き方をアスカリスは知らない。
「夢の正体が知りたいなら旅をしなさい」と魔女は言った。
「夢に出てくる女の子の声が聞きたい」とアスカリスは思った。
アスカリスは一番最初の衝動を胸に秘めて、旅の目的地点のスィム・ケートゥスが待つ海に向かって旅をする。アスカリスの友人や旅の中で出会った魔族は、物語の意味、人間の生き方、世界の仕組みを知らないアスカリスの旅路を案じる。けれどアスカリスの目的は変わらない。精神年齢0歳のアスカリスは、目の開かない赤ん坊が音だけの世界に生きるように、「夢の子の声を聞きたい」だけを考えて、旅をする。
そしてアスカリスはスィム・ケートゥスのいる深海にたどり着いた。
深海もまた光がなく音だけの世界。アスカリスは生まれて初めて鳴き声を発した。音の世界でありながら、深海で発せられる音は地上の世界に響かない。
アスカリスはスィムの世界の中に生まれた、新しい夢の世界で目を覚ます。その場所で、アスカリスは新しい神さまになったスィムと出会い、自分の生まれた意味を知った。向こうの世界への旅を始めるスィム。「どうか私の夢が終わる前に、スィムを無事に向こうの世界に送り出せますように」とアスカリスは願いを込めて、声を響かせた。
そうしてアスカリスは満たされた気分で夢から目を覚ました。アスカリスは夢の中のことをすっかり忘れていた。でもアスカリスはいつもとは違う夢を見たことを自覚する。アスカリスは「夢のことを覚えてないけど、綺麗な夢を見たことは分かる」という体験を生まれて初めてした。