あらすじ
「やぁ、懸命に生きた者たちよ。
君の人生はどんなものだった?」
その問いかけは、死者への祈りなのか。
あるいは、生き残った者が自分自身へ向ける静かな独白なのか。
ーー渡りの森。
そこには、空へ記憶を返す古い葬送を、ただ一人受け継いだ青年ヴァンシィが暮らしていた。
鳥と共に、風と共に、消えてゆく生命の声を抱きしめながら。
ある日、旅人の亡骸を抱えた青年が森へ迷い込み、忘れられた儀式の扉がゆっくりと開いていく。
空に返される記憶は、人の願いの形。
鳥が舞い、魂が風にほどけるたび、ヴァンシィは人の終わりと向き合い、そこに残された最初の光を探し続ける。
だが静寂の森に、管理と支配を掲げる組織の影が差す。
隠された歴史、滅びた民族、断ち切られた祈り。
彼が出会うのは、数え切れない “最期” たち。
その果てに、青年は問い続ける。
生とは何か。
死とは何か。
そして人とは、いったい何者なのか。
空へ返すその手が導くものは、ただの葬送ではない。
だが、彼がそれを知るのは、ずっと後のことである。