あらすじ
昼休みになると、俺はいつも財布みたいに扱われる。
面倒ごとは金で丸める——それが“スネ夫”と呼ばれる俺の処世術だった。
けれどある日、壊れた美術部の作品をめぐる騒動で、
俺のその習慣が原因で“犯人”にされ、同じ教室の凜まで巻き込んでしまう。
彼女はかつて“ジャイ子”と揶揄われていたという、強さと痛みを抱えた少女だった。
「あなた、本当に“買われる優しさ”でいいの?」
凜の言葉は、金では誤魔化せない場所に刺さった。
嫌われるのが怖くて、見栄と財布で自分を守ってきた俺。
過去のあだ名に傷つきながら、それでも前に進んできた彼女。
たった一日の出来事の中で、
スネ夫とジャイ子——あだ名で片付けられてきた二人の距離が、静かにほどけていく。
これは、
金で逃げてきた俺が、
初めて誰かの言葉に立ち止まった一日の物語。