あらすじ
裕貴(31)は、目を覚ました瞬間――魔法と魔物が当たり前に存在する“中世のような異世界”に放り出されていた。
剣も魔法も扱えない。帰り方も分からない。けれど彼にあるのは、現代で身につけた「段取り」「交渉」「改善」の知恵と、腹をくくる度胸だけ。
拾われた先は、小さな領地を預かる家。
なぜか居候のはずが、家の孫娘と婚約する流れになり、執事には予算の概念を叩き込まれ、商店主には「せめて半年に一個の発明で…」と泣きつかれる。
施政者(偉い人)には「やりすぎるなよ?」と釘を刺されるが、頼まれごとは放っておけない性分だ。
食糧事情が厳しければ、料理で食文化を広げる。
生活が不便なら、住民を説得して“作る仕組み”を整える。
人が足りないなら、仲間を探しに行く――そして引き当てるのは、なぜか毎回「大物」ばかり。
これは、世界を救う英雄譚ではない。
波乱万丈で涙腺を破壊する物語でもない。
ただ、少しだけ刺激が強い日常のなかで、周りの暮らしをじわじわ良くしていく――
**中年手前の男が、異世界で“のんびり”生き直す物語。**
今日もまた、領地のどこかで誰かが言う。
「……裕貴様、まずは予算を、予算を……!」
「新作料理、期待してますね?」
「助けていただいた恩、二十五年分でお返しします!」
のんびりしたいのに、なぜか忙しい。
でも不思議と、悪くない。