あらすじ
婚約破棄と莫大な請求書
王太子ジェラールから、冬の夜会で一方的に婚約破棄を告げられた公爵令嬢カルル。
涙を期待する声の中、彼女は静かに扇子を伏せ、微笑んだ。
「承知いたしました。ではこちら、未払いの請求書でございます」
手渡されたのは黒革の帳簿。
そこには、外交儀式の立替費、慈善基金の運営費、災害復興支援、翻訳業務、政策立案、
そして三年間の膨大な知的労働が記録されていた。
合計金額:五億六千万ルク。
恋ではなく、国家の影を支えていたのは彼女だった。
王太子妃候補という肩書きの裏で、カルルは朝から深夜まで働き、
誰よりも王室を支えていた。
しかし、そのすべては無償だった。
婚約破棄をきっかけに明らかになる、王室の未払い債務。
公爵家は返済を迫り、世論は揺れ、王室は財政危機に陥る。
その最中、若き侯爵アッシュが現れ、カルルに告げる。
「君は誰かに仕える女ではない。
二人で未来を築く、対等な契約者だ」
涙でなく、契約で人生を守る時代。
愛と家庭は無償奉仕ではなく、信頼と責任で成立する。
ざまぁより痛快、金融よりドラマティック。
これは、搾取された“無償の愛”から解放され、
幸福と対価が並ぶ人生を選ぶ女性の物語。