あらすじ
名前を失ったまま、異世界に落ちた。
気づいたとき俺は、森の中で倒れていた。
記憶も、来た理由も思い出せない。ただひとつだけ――
“自分がここに属していない”
という違和感だけが残っていた。
やがて、奇妙な現象が始まる。
世界の“線”が見える。
感情が濁ると“影”になる。
そして――
自分と同じ姿をした“影の俺”が現れた。
「君は半分だよ。
本当の名前を思い出せば、全部分かる。」
影の俺はそう囁く。
境界管理局によれば、
俺は“二つの境界線”を持つ異常存在らしい。
片方はこの世界の線。
もう片方は深層(意識の底)へとつながる線。
名前を失ったせいで、
俺は世界に完全に存在できていないという。
深層は揺れ、影は増え、街は侵食され始める。
国全体が“影災”に飲まれつつある中で、
俺は自分の“名前の欠片”を探す旅に出る。
――俺は何者なのか。
――なぜこの世界に落ちてきたのか。
――影の俺は敵か、半身か、それとも……?
名前を失った転移者が、
深層と影に引き裂かれながら“本当の自分”を探す物語。