あらすじ
中学一年生の日向桜は、有名な映画監督であった亡き父にあこがれて、誰かの心を動かす映像を撮ることが夢。父も所属していた放送部で映像を作るんだと意気込んでいた桜だったが、入学した中学校には放送部がなかった。
「ないなら、つくればいい」――そのひと言で、桜の挑戦がはじまる。
明るくて頼りになる幼なじみ浅野楓、無口でちょっと影のあるカメラマン黒瀬蓮、静かで物語を書くのが得意な東堂葵。
性格も得意分野もバラバラな四人が集まって、桜たちの「放送部」が動き出す。
最初はカメラの使い方もわからず、意見がぶつかってばかり。それでも、みんなで笑いながら放課後の放送室を掃除し、企画を立て、映像を撮り続ける。ドラマのテーマは『笑顔』。誰かの笑顔を撮ることで、見てくれた人の心まで明るくしたい。
けれど、カメラを向けるたび、蓮の手が止まる。彼には、笑顔を撮れなくなってしまった理由があった。――亡くなった妹の、最後の笑顔。その記憶が、彼のレンズを止めていた。
「だったら、私が何度でも笑うよ」
桜の言葉が、蓮の心の奥に届く。止まっていた時間が少しずつ動き出して、四人の物語は輝きを取り戻していく。
そして迎えた放送コンテスト。結果は、佳作だったけれど、スクリーンの中には、誰よりも輝く笑顔が映っていた。
上映を終えたあと、夕陽の下で蓮がカメラを構える。
「桜」
名前を呼ばれた瞬間、風が吹いて、桜は笑った。――パシャ。シャッターの音が、空にひびく。
それは、あの日放送室で生まれた光のつづき。
桜たち四人の、未来へつながる『笑顔』の物語。