あらすじ
「その身に咲くは災いの華」
触れるもの全てを腐らせ、病魔を招くと蔑まれてきた公爵令嬢、リコリス・フォン・ベラドンナ。彼女は常に黒い手袋で肌を隠し、誰とも触れ合わぬよう孤独に生きてきた。
しかしある夜会で、婚約者のアルドレッド王子と聖女マリアベルから「聖女を毒殺しようとした」という冤罪をかけられ、猛毒の瘴気が渦巻く死の領域『腐海の森』へと追放されてしまう。
「お前のような毒女は、野垂れ死ぬのがお似合いだ!」
死を覚悟したリコリスだったが、彼女の特異体質は瘴気を「栄養」として吸収し、生きながらえる。そこで彼女が出会ったのは、隣国ガルディアの皇帝ヴォルフラム。「鉄血の魔王」と恐れられる彼は、自身の強大すぎる魔力が体内で暴走し、身を焼く激痛と孤独に苛まれていた。
ヴォルフラムはリコリスの「毒(魔力)を喰らう」体質を見抜き、彼女の手袋を強引に外させる。
肌を合わせた瞬間、スパークと共に彼の暴走魔力はリコリスに吸い上げられ、二人はかつてない快楽と安らぎに満たされる。
「貴様の毒は、俺にとっては至高の解毒剤だ」
互いの欠落を埋め合わせる、運命的な共依存関係となった二人。リコリスは彼から注がれる魔力によって、妖艶な美貌と自信を手に入れ、帝国の「女帝」として覚醒していく。
一方、リコリスを追放した祖国は地獄と化していた。
実はリコリスこそが、国中の毒素や悪意を無意識に浄化していた「濾過装置」だったのだ。彼女を失った国では謎の疫病『黒華病』が蔓延。さらに聖女の薬がただの麻薬だったことが発覚し、王子と聖女は美貌を失い、醜く腐り果てていく。
破滅に瀕した祖国は、なりふり構わずリコリスの返還を求めるが、彼女はヴォルフラムの腕の中で冷酷に微笑み、それを拒絶する。
「病は毒を出し切らなければ治りませんわ。……死ぬほど苦しんでくださいませ」
絶望し狂気に陥った王子たちは、ついに禁忌の魔術に手を染め、死兵の軍勢となってリコリスを奪いに来る。
魔王に愛され、毒の華として咲き誇るリコリスは、最愛の共犯者と共に、かつての祖国へ引導を渡す戦いへと赴くのだった――。