あらすじ

大学時代いつも隣にいた彼女を好きだった主人公は、結局その思いを伝えないまま社会に出る。今は互いに家庭を持ち、通勤動線の交差点で絵本や子どもの靴を受け渡すだけの関係が続く。横断歩道の青が点滅に変わるたび、主人公はもしもを思い描く。あの日に言えていたなら、台所の小さな秩序や夜中の看病の番で揺れる日常を二人で引き受けられただろうか。 物語は四章で、現在の朝の光景と、大学の図書館や歩道橋の記憶、未送信の文面が溜まっていく時間、そして今の生活の細部が重ねられる。水筒のパッキンを直す指先、宅配の箱に添えられた丸い字、公園の砂の硬さ。ささやかな実務のやりとりの裏側で、言えなかった地点が地図のように光り続ける。 やがて夜、主人公は画面に一行だけ打つ。言えなかった私で、友達のままで、今ここにいる。送信は押さない。明日の段取りを整え、未送信のまま眠りに落ちる。二本の線は平行のまま延び、その先で子どもたちが成長し、また朝が来る。渡って、別れて、また会う。平行でいることを終わりではなく、私たちの続き方として選び直す物語。

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エブリスタ
エブリスタ2025/12/08
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